友情とやさしさ日本語
あわのふんすい
温室の中は、あたたかくて、しめっていました。
ミナは小さなじょうろを持って、なえの前に立っていました。芽が出たばかりのちいさなみどりが、ずらりとならんでいます。
ミナは、ソラのことが気になっていました。きのう、となりに引っこしてきた男の子です。ソラは温室のすみで、じっとなえを見ています。ミナは、ソラとなかよくなりたいのです。
「あのね」
ミナは言いました。声は、ありんこみたいに小さくなりました。ソラは気づきません。
ミナはじょうろをさしだしました。
「あのね、水、あげる?」
ソラはふるふると首をふって、うしろにさがりました。
ミナは困って、ふんふん、と歌いはじめました。すると、まんなかのふんすいから、あわがふわふわ出てきました。この温室のふんすいは、だれかが歌うと、水のかわりにあわを出すのです。
ソラが顔をあげました。あわを目で追って、ちょっとだけ、わらいました。
「あ」とミナは思いました。ソラは、あわが好きなのです。
ミナは、もっと大きな声で歌いました。
「ふんふん ふーん」
あわが、わっと広がりました。
ソラも、小さな声で歌いました。
「ふふーん」
大きなあわがひとつ、ソラの鼻の上で、ぽん!とはじけました。
ふたりは、おなかをかかえてわらいました。
そのとき、ミナは思い出しました。
「そうだ。このなえのはこ、おひさまのところに運ぶんだった」
ミナはひっぱりました。はこは、びくともしません。おもすぎるのです。
ソラが、はこの反対がわを持ちました。
「せーの」
「せーの」
はこは、ずず、ずず、と動きました。
おひさまの下に、はこをおろしました。
ふんすいのあわが、ふわふわとんできて、小さな葉っぱの上にのりました。あわは、ぷるん、とゆれて、きらりと光りました。