からだと感覚日本語
ハルと黄色い毛布
ハルは、毛布をマントみたいに首に巻いて、どこへでも行く女の子だった。
ゆきの朝、ハルは毛布をかけた鉢植えを見に、窓べに走った。ゆうべ、寒くないようにかけてあげたのだ。ところが、毛布がない。
「もうふ、どこ?」
外を見ると、庭の木のてっぺんに、黄色いはしっこがひらひらしていた。風にとばされて、ひっかかったのだ。
ハルは、ぴょん、ぴょん、とんでみた。とどかない。ほうきをのばしてみた。毛布はゆれるだけで、おちてこない。
雪がひとつ、ハルの鼻にのった。ちりん。ふたつめものった。ちりん。
「ちりん、じゃないの。いまはもうふなの」
そのとき、木の上に、すずめがきた。すずめは毛布のふさをくちばしでつついて、糸を一本、ひっぱっている。
「それ、わたしのだよ」とハルがいうと、すずめは「ちゅん」と首をかしげた。すずめは、巣のための糸がほしいだけなのだ。
ハルは、じっと見た。毛布は、ほんの一つのかどで、えだにひっかかっている。
「かどを、ひっかければいいんだ」
ハルは、へやからハンガーをもってきた。ほうきの先にむすんで、高くのばす。ひっかけて、そっとひく。すると毛布がすべって、ふわり。
ハルの頭に、おちてきた。
「わあ!」
ハルはまっくらになって、わらった。すずめは、ふさの糸をくわえて、ぱっととんでいった。
ハルは毛布をかぶりなおして、あごまでぎゅっとくるんだ。鼻のさきに、また雪がひとつ。
ちりん。
毛布の中は、あったかかった。