家族とおうち日本語
うめぼしのつぼ
ハルは、おばあちゃんの台所のゆかに、ちいさなとびらを見つけた。
「おばあちゃん、これなあに?」
「くらのとびらだよ。うめぼしのつぼが、下にあるの」
おばあちゃんは、あついごはんでおにぎりをにぎっている。手がはなせない。
「ハル、とってきてくれる?」
「うん!」
ハルは、おにぎりにうめぼしを入れたかった。
とびらをあけると、かいだんがのびていた。ハルはおりていった。いち、にい、さん、よん……じゅうご。おりるのは、ながい。おばあちゃんの台所では、むかしからそうだ。
下はひんやりして、うめのにおいがした。まるいつぼが、ちょこんとすわっている。
そのとき、ゴゴゴゴゴ!
大きな音がして、ハルはかたまった。ゆかがふるえている。
でも、ハルはみみをすませた。音の先に、水のながれる音がまじっている。
「あ、おばあちゃんが、水をだしたんだ」
音は、すうっとやんだ。
ハルは、つぼをだっこした。おもい。ひとつあがって、よろよろ。ずるっ。ごろん。つぼをおとしそうになった。
こんどは、つぼをかいだんのはしにおしてみた。でも、ごろんと下にもどってきた。
ハルは、うーんとあたりを見まわした。かいだんの上から、ロープのついたかごが、ぶらぶらさがっている。
「これだ!」
ハルは、つぼをかごに入れた。それから、かいだんをのぼった。のぼるのは、みじかい。さん、にい、いち。もう台所だ。
ロープをひっぱる。ひっぱる。ひっぱる。かごが、ゆらゆらあがってきた。
ふたをあけると、ぽん!
おばあちゃんは、うめぼしをおにぎりのまんなかにのせた。
ハルは、ぱくりとたべた。
「すっぱーい!」
目をぎゅっとつぶったハルのよこで、やかんがぷしゅーと、白いゆげをふいていた。