感情ときもち日本語
あわあわの ふんすい
「おばあちゃん、どこ?」と、ミオは言いました。
ミオは五さいです。今日は、おばあちゃんに会いに、生け垣の迷路まで来ました。おばあちゃんは、迷路のまんなかのベンチで待っています。会いたくて、会いたくて、ミオは走りました。
でも、生け垣はミオより高くて、前も後ろも緑の壁です。右に曲がると行き止まり。左に曲がっても行き止まりでした。
「おばあちゃん、どこ?」
返事はありません。おばあちゃんは、ベンチでぐっすり眠っていたのです。
ミオは大きな声で呼びました。「おばあちゃーん!」
生け垣の上で、小さな鳥が赤い実をつついていました。鳥は、ちらっとミオを見ただけでした。実を食べるのに、いそがしいのです。
ミオは、べそをかきそうになりました。そのとき、行き止まりの先に、丸い噴水が見えました。水は出ていません。
ミオは、小さな声で歌いました。
「おばあちゃん おばあちゃん あいたいな」
すると、噴水から、ぷくぷくぷく、とあわが出てきました。この町の噴水は、だれかが歌うと、あわをふくのです。
あわは、ふわふわ空へ上がりました。生け垣をこえて、ずうっと向こうへ飛んでいきます。
「あっ」ミオは気づきました。「あわが行くほうに、おばあちゃんがいる!」
ミオはもっと歌いました。あわは、どんどん出てきます。ミオは、あわを見上げて走りました。あわが右に行けば右へ、左に行けば左へ。
とちゅうで、ひとつのあわが、ミオの鼻の上でぱちんとはじけました。「くしゅん!」ミオは、自分でわらってしまいました。
迷路のまんなかに出ると、おばあちゃんがベンチで眠っていました。大きなあわが、おばあちゃんの鼻にそっととまって、
ぽん。
「……おや」おばあちゃんが、目をあけました。「ミオ。いい歌が聞こえたよ」
ミオは、おばあちゃんのあたたかい手をぎゅっとにぎりました。まわりでは、小さなあわが、きらきらとゆれていました。