勇気とこわいもの日本語
ふたりの探検隊
ハルは、探検隊の隊長になって、木の上の基地に一番にのぼりたかった。
基地は、大きな木の三本の太い枝のあいだにある。のぼるには、なわばしごを使う。おとうさんが今朝つけたばかりの、新しいはしごだ。
いもうとのミナは、ランタンをだいて下で待っていた。基地のフックにつるすのだ。このランタンは、雨がふらない夜になると、青くひかる。
「よーい、どん!」
ハルは、はしごに足をかけた。ぎしっ。はしごが、ぶらんこみたいに大きくゆれた。ハルはおどろいて、ぴょんと下りた。
「もういっかい」
こんどは、うんと速くのぼってみた。ゆらゆらゆら。やっぱりゆれて、ハルはしりもちをついた。
「ハルにいちゃん、こわいの?」
「こわくないよ。ちょっとゆれるだけ」
ハルは、はしごをじっと見た。ミナがはしごの下をつかんだとき、ゆれがすっと小さくなった。
「あ!」ハルは立ちあがった。「ミナ、そのまま下をおさえてて」
「うん!」
ハルは、ゆっくりのぼった。ゆらゆら、ゆっくり。ゆらゆら、ゆっくり。ミナが下をおさえていると、はしごはほとんどゆれなかった。
ハルは基地に着いて、上のはしらをぎゅっとつかんだ。
「こんどはミナの番だよ。ぼくがおさえるから」
ミナはランタンを背中にしょって、のぼってきた。ゆらゆら、ゆっくり。ハルは上でしっかりおさえた。
ふたりは、いっしょに基地に着いた。
ハルはランタンをフックにかけた。すると、ランタンがふわっと青くなった。ラムネのびんみたいな、すきとおった青だ。
「あした、雨はふらないね」とミナが言った。
「うん。じゃあ、あしたも探検だ」
青いひかりの中で、はしごが、ぎし、と小さくなった。