勇気とこわいもの日本語
わらのへやのフクロウ
ハルは、おばあちゃんの家のわらのへやで、ひとりでねてみたかった。
わらのへやは、はしごのてっぺんにある。高いはりからは、ロープのブランコがさがっている。
「うえでねていい?」
「はしごをひとりでのぼれたらね」と、おばあちゃんは言った。
ハルはまくらとくまのぬいぐるみをだいて、はしごに足をかけた。いち、に、さん。まだまだ。
「もうすこし、もうすこし」
まくらがぽとん。くまがぽとん。そのたびにおりて、ひろって、またのぼった。やっとてっぺんについたとき、そとはもうくらかった。
「のぼれたね。いいよ」
下から、おばあちゃんが手をふった。
わらのベッドは、ふかふかでいいにおいがした。けれど、おばあちゃんが電気をけしていってしまうと、ハルはおかあさんの声がききたくなった。
ひつじをかぞえた。くまをぎゅっとだいた。それでも、ねむれない。
そのとき、ぎい、ぎい、とくらやみでなにかがゆれた。
ハルはかたまった。ぎい、ぎい。
「ほう」
ブランコの上に、まるいものがのっていた。フクロウだ。ねずみをさがしにきて、ちょっとやすんでいるだけらしい。ブランコがぐらりとゆれて、フクロウはばさっとはねをひろげた。
「ほっ!」
ハルは、ふふっとわらった。
フクロウはハルのほうを見なかった。まどのそとを、じっと見ていた。ハルも見た。
大きな木のむこうに、まんまるのお月さまが出ていた。あの木は、まんげつのたびに、はっぱの輪がひとつふえる。おばあちゃんがおしえてくれた。
「きょう、ふえるんだ」
ハルはくまにささやいた。ねるのはやめて、ふえるところを見ていることにした。
フクロウは、ほう、とちいさくなく。お月さまは、はっぱをしろくひからせる。
さら、さら。
はっぱが、ひとつふえたような音がした。
ハルのめは、もうとじていた。