家族とおうち日本語
カワウソの家族 — おやすみのお話
川のほとりに、カワウソの家族の巣がありました。
ハルは、そこに住む小さな男の子です。
今日は月のはじめの日で、川の水が上へ上へと流れる日です。みんな知っているので、だれもおどろきません。
ハルには、したいことがありました。赤ちゃんのミミに、ふかふかのベッドをつくってあげたいのです。巣の土は、ミミにはつめたすぎます。
「やわらかい草を、川の下からとってくるよ」
「いってらっしゃい」と、お母さんが言いました。
ハルは、草をどっさりかかえて歩きました。でも、どろの道でつるん。
ぱしゃん。また、みずたまり。草はびしょびしょです。
次は、草を頭にのせました。でもまた、つるん。
ぱしゃん。また、みずたまり。
三回目は、草をひきずってみました。でもやっぱり、つるん。
ぱしゃん。また、みずたまり。
ハルは、すわりこんでしまいました。
そのとき、目の前を大きな木の皮が、すーっと通りました。上に、カエルがのっています。木の皮は、川を上へのぼっていきます。
「ゲロ。今日は、のぼる日だからね。のりにきたんだ」
カエルは、ごきげんで言いました。
ハルは、はっとしました。
「川が、巣のほうへ行くんだ!」
ハルは木の皮をそっとつかまえて、草をのせました。カエルは、すみっこでゲロッと言いました。
それから、ハルは水に入って、うしろからおしました。草は、一本もぬれません。
川は、草とカエルとハルを、巣のそばまで運んでくれました。
「あら、ふかふかの草ね」
お母さんが、草を巣の中にしきました。
ミミは、その上にころんと転がって、目をとじました。
外では、川がちゃぷ、ちゃぷと、上へ流れていきます。